高等学校の教科「情報」の実習環境をLTSPで構築した際の記録です。

なかなか更新してもらえないコンピュータ環境(8年使用、起動に10数分かかる)を、LTSPでサーバだけ更新することで改善した事例です。
2011年4月稼働を目標に作業しましたが、実際はギリギリで、授業で必要な機能を順次付け加えていった感じです。
私も自分の環境を構築する際、多くの方々が発信して下さった情報をつなぎ合わせて、なんとかまとめ上げることができたので、私も自身の記録を公開することにしました。 ただ、日常はその週の授業の準備に終われ、合間に書いていくのは思ったほど容易でなく、公開が遅れました。申し訳ありません。 また、作業途中に画面のキャプチャを取るのを忘れていて、文字ばかりのとても読みづらいページになってしまいました。

大学院在籍中に修士論文のために調べていた資料に、sanya.netさんの静岡県立二俣高校での実践と出会えました。 これは使えるのではないだろうかと考え、2009年度に購入していた教材作成用PCをubuntuのデュアルブートにし、LTSPを試すことにしました。
  http://linux.sanya-net.ddo.jp/
といっても、僕自身は修士論文だけで手一杯でSEさんに任せっきりになっていて、検証作業の詳細な失敗事例、成功事例の記録がありません。

このページの内容は検証の記録だけです。実際に稼動させたLTSPの記録はこちらから

検証作業開始

まとまって時間が取れるのは夏休みだろう、との思いで2010年夏から検証作業に取りかかりました。 しかし、ubuntuのインストールだけでも、てこずってしまいます。インストールは正常に出来たようなのですが、ログインのユーザ名やパスワードを入力する画面が出ない。
SEさんが調べまくってくれた結果、ログイン時のデスクトップが、入力フォームの前面に表示され、ユーザ名、パスワードが入力できないようになっていました。 この問題はSEさんが解決してくれました。
そんなこんなでくじけかかっているとき、京都でUBUNTUのオフラインミィーティングが開かれることを知り、参加しました。 箕面市のubuntuでのLTSPの事例の担当者の那谷さんの講演とデモがあり、実際に体験しお話を伺うことが出来、実際に目の前で何をどう設定するのか も見せていただけて、LTSPでの授業環境構築に大変自信を持ちました。
検証作業はほとんどSEさんにまかせっきりで、僕は春まで修士論文に追われます。

LikeWiseOpenで断念

Windowsでも実習できるよう、Active Directoryに参加させ、マイドキュメントがhome directoryとなるようにすれば、  生徒が1学期に取り組んだ課題を2学期に振り返ることもできると考えたのですが。。。。 〜〜どう対処しても解決しませんでした。
また、夏休みに機器の買い替えてもらえることが決まったので、LTSPを実際に稼動させるのは、2011年度前半だけとなりました。 この期間のみの活用なのでActive Directoryに参加させることはあきらめて、LTSPで実習のマシンをストレスのない時間で起動させることを目指します。

試作のような初代マシン-1

検証作業もひと段落し、僕の修士論文もなんとか提出させていただいたので、いよいよ実際に授業で使うためのLTSPサーバの構築です。
サーバとして目を付けたマシンは、2009年購入のマシンで教材作成用に購入していたものです。そのときのうちの環境の中では最もスペックの高いものです。
しかし、メモリが2GBしかありません。数十台を接続させるには不十分なので、メモリを4GBに増設してみました。
従来の環境も残しておかないと他の先生が教材作成のために使用するかもしれないので(めったにないのですが)、デュアルブートにします。
SEさんの繰り返し試してくれた検証作業のおかげで、わりと無事にLTSP環境は構築できました。
と、ここまでが春休みの作業でした。これで、何とか動いてくれないか、と祈るようにテストしてみると、、、、、10台くらいが限界でした。 それ以上起動させようとするとメモリスワップが発生してどの端末も動かなくなります。しかし、新学期の授業は近づきます。
sanyanetの報告のようにサーバ2台にするべきなのか?  でも、そのとき、クライアントをどういうポリシーで分散させるのか、分散させたとき、 home directoryはどこに置くか、などまだまだ解決すべきことが多い。 できれば、サーバは1台で対応したいなぁ。
新学期が始まってしまい、フリーズしてしまう原因を、費用のかからないものから1つずつ対処してみます。まずは、ネットワークの遅さです。
 サーバ室と教室を結ぶネットワークのスイッチングハブが〜〜〜baseだったので、多数のマシンがつながったとき処理しきれないのかも。
             => Giga対応のスイッチングハブに変更しました。
 システム自体もそれなりに重い。 => LXDE化することでちょっと軽くなりました。
 ここまでやってみても、まだ40台のクライアントを起動せるのは無理でした。

試作のような初代マシン-2

メモリをマシンの最大まで積むため、64bit化することにします。もとから入っていたWindowsは32bitだったので、デュアルブートもあきらめます。
少しでも軽量にするために、LUBUNTUで構築します。

<初代マシンのスペック>
マシンHP Compaq dc7800 Small Form Factor 
CPUIntel Core2 Duo E4500 @2.20GHz 
メモリUMAX DDR2-800 4GBを2セット購入
2枚セットで5,980円×2
デフォルトで2GB(1GB×2)だったものを8GBに増加。
既存のメモリは撤去し、2GB×4枚に
HDDSEAGATE 80GB SATA10台くらいのクライアントなら持ちこたえるかな?
LANカード追加BUFFALO LGY-PCI-GTを購入
1,780円
既存でIntel 82566DM Gigbitがある
スイッチングハブBUFFALO LSW3-GT-16NSRを購入
Giga対応
21,800円
 
総費用35,540円 
表0: 初代マシンとして使用したPCのスペック(斜体部分が別途購入したもの

初代マシンでの反応

そんな感じでまぁまぁ順調に稼働していましたが、OpenOffice WriterとFirefoxを使う作業を36台ほどで行うとキー入力してから入力した文字が表示されるまで に5分もかかってしまう。そうなると、生徒たちはやたらとクリックし続け、タスクが増えすぎてますます重くなります。生徒たちには、重くなったらそっと見守ってあげて、 と呼びかけます。
買ったメモリがnon-ECCだからかもしれません。このように、40台ほどを接続して作業するとときどき、妙に重くなることがあります。


8年間使用のWindows2000マシンよりは、数段反応が良くなったとはいえ、まだまだストレスだらけの速度です。自腹でもっとスペックのいいマシンを買おうか??  かなり真剣に悩み、我が家のかあちゃんの了解もとりつけたとき、ふと目に留まったアウトレットの文字。アウトレットのワークステーションを買うことにしました。
そして、最終的に授業で実際に生徒が使ったLTSP環境の構築の記録はこちら